HHKBのキーキャップ(キートップ)を初めて塗装してみた。まずは1個のキーキャップだけ。「JIS配列キーキャップ交換できない問題」を解決
HHKB公式のカラーキーキャップ(※キートップ)に手を出したことは以前の投稿でお伝えしたのですが、それに飽き足らず、公式カラーキートップが存在しない(というかJIS配列に対応するカラーキートップは公式以外ほぼない)キーについて、塗装をしてみました。
まずは、キーマップツールでCommandキーに変更した左Opt/Altキーの刻印を見えない状態にする&かわいくしたかったので、このキーをピンクに塗装することから始めました。
※HHKBを作っているPFUは「キートップ」と呼びますが、一般的には「キーキャップ」と呼んでいる人の方が多い印象を受けています。
<New!> その後、他のキーもたくさん塗装し、作業工程を動画撮影したのでぜひそちらもご覧ください!コメントお待ちしております。
もくじ
【材料】
【塗装を決行する前の注意点】
【作業に適した場所・時期】
【作業工程】
①塗装するキーキャップを抜く
②キーキャップ表面を食器洗剤で脱脂
③塗装できる場所・土台を用意
④キーキャップを100均のマドラーに刺し、紙粘土で段ボールの底面に固定
【基本的な塗装方法】
⑤プライマー
⑥ラッカースプレー
⑦クリアコーティング
⑧乾燥後、キーボードに戻す
【反省点・次回への提案】
【1週間使用してみて】
【3ヶ月使用してみて】
準備したのは以下のもの。
- 染めQ プライマー スプレー ミッチャクロン マルチ 420ml
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0058MOMPO/ref=ox_sc_act_title_3?smid=AN1VRQENFRJN5&th=1 -
アサヒペン 高耐久ラッカースプレー 300ML ピンクhttps://www.amazon.co.jp/gp/product/B003974J7G/ref=ox_sc_act_title_2?smid=AN1VRQENFRJN5&th=1
-
GSIクレオス Mr.スーパークリアー つや消し スプレー 170ml ホビー用仕上材 B514
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B000W30PIW/ref=ox_sc_act_title_1?smid=AN1VRQENFRJN5&th=1 - キーキャップ引き抜き工具(PFUショップで購入した公式の「カラーキートップセット2(HHKB Professionalシリーズ専用)」に同梱されていたもの)
カラーキートップセット(HHKB Professionalシリーズ専用)|PFUダイレクト - 食器用洗剤
- 100均の木製マドラー
- 紙粘土(粘着ラバーがあるならベター)
- ゴム手袋
- エアダスター
- プレサフ
なお、私は全くの初心者でしたので、方法については以下の勇敢な先駆者たちが提供してくださった情報を参考にしました。
- 自分で改造したキーボードが故障した場合、保証期間内であってもPFU(販売会社)が修理してくれないかもしれません。まあ、キーキャップは外して塗装くらいで全体が壊れることはないと思うのですが・・・キーボード本体を塗装する時はマスキングテープで塗装してはいけないところをしっかりカバーした方がよさそうです。
- 一回塗装すると、キーキャップの取り外し・清掃が困難になると思います。取り外し器具で表面を傷つけると塗装が剥がれますし、油分を拭き取るためにアルコールで拭くなどは基本的にしない方がいいと思います。
- 今回の自分のプチ失敗から学んだのですが、塗装が剥がれないようにキーボードでタイピングするためには、常に爪のお手入れをして引っ掻かない長さにしないと絶対に爪でキーキャップを傷つけると思います。
- どれだけ気をつけてキーボードを使用していても、いつかは傷がついて再塗装しないといけなくなると思います。その際、綺麗に再塗装するためには、紙やすりで塗装面を整えることになります。1段階加わって面倒になることを覚悟しましょう・・・(最初の塗装から紙やすりで整えていた方もいらっしゃいました)。
- HHKBだとキーキャップも貴重ですので、可能なら同じ材質(HHKBならPBT)のキーキャップでまずは練習すると良いと思います。今回使ったプライマー・塗料・トップコートは、ABS樹脂には対応していましたが、メーカー側でPBTに対応しているかは未確認でした。揮発性が高いから大丈夫かもしれないが、最悪シンナーがプラスチックを溶かしてしまうかも(化学的にいうと重合している部分が切れてしまう)と忠告されました。結果オーライでしたが、自己責任になります。本当に怖ければ水性スプレーの方がよいかもしれませんが、その場合はラッカースプレーほどの「塗膜の締まり」は期待できないそうです。
【作業に適した場所・時期】
適度に暖かく乾燥している時期・時間帯の方が塗料が早く乾燥して早く作業が進むそうです。季節としては春(4〜5月)・秋(9〜10月)が適しているそうです。まあ、私は待っていられないので3月の曇り日に作業しました笑。最悪5℃以上、湿度85%未満なら作業できるそうです(参照:500人に聞いた外壁塗装が不向きだと思う季節・時期と塗装業者の見解|外壁塗装110番)。作業場所は、塗料にはシンナー等吸い込むと有害(あと単純に臭い)な有機溶剤が含まれているので、外の換気の良いところ、かつ最悪汚れてもいいところが良いです。駐車場や庭をお持ちの方はそこがベストだと思いますが、私はベランダで行いました。その際、ご近所に迷惑がかからないよう、洗濯物に飛散したりすることがないよう配慮が必要です。また、エアコンを使う時期はシンナーの匂いが室内に入る可能性があるので、やはり作業する場所は難しいですね・・・とりあえず室外機から可能な限り離した方がよいですね。一軒家勢が羨ましい。
色々面倒だなと思われたかと思いますが、塗装にはある程度勢いと度胸が必要です!笑
とにもかくにも、塗装していきましょう!
【作業工程】
①塗装するキーキャップを抜く
引き抜き工具でキーキャップを外します。この際、できるだけキーキャップを傷つけないように少しずつゆっくり上に引き抜くとよいと思います。
私は以前取り外したキーキャップを代わりに空いた軸に嵌めておきました(埃よけ、塗装している間のタイピング用)。また、キーキャップを外すついでにエアダスター等で掃除しておくのもよいです。
②キーキャップ表面を食器洗剤で脱脂
使用中のキーキャップ表面についている皮脂等の油分は、塗料の接着を妨げるそうです。さっと洗って干しました。複数同時に洗うならザルを使うといいと思います。
これ以降は、キーキャップを触った時に皮脂がつかないよう、ゴム手袋をしました。
③塗装できる場所・土台を用意
外の換気がよい場所に新聞紙等を広げ、その上に段ボールを置きます。
④キーキャップを100均のマドラーに刺し、紙粘土で段ボールの底面に固定
キーキャップを塗装する土台を作るステップです。紙粘土でなくても、粘着ラバーなど、とにかくマドラーが段ボールに対して垂直に固定されれば大丈夫です。100均のマドラーはうまい具合に軸の穴に差し込めましたが、バランスを取るのに時間がかかりました。風が強い日等はもっときちんと固定すべきだと思います。
編集:私は知らなかったのですが、プラモ界隈では周知の事実である「段ボール製の台座」の存在をさっき知りました。段ボールがたくさんおうちにある方はこっちの方が複数のキーキャップの同時塗装には向いているかも。
ダンボールでプラモ・模型の塗装用台座を製作する。 | BOX BLOG - 楽天ブログ
以降、どんなタイプの塗料でも、以下のような方法で塗装します(詳しい条件は各塗料の説明書を参考にしてください)。
- 塗装面に油脂・塵がついていないことを確認する(埃があったらエアダスター等で飛ばす)
- 30秒間くらい勢いよくスプレー缶を振る(球が入っている場合「カチカチ」音がする)
- まずは周りの段ボールなどに試し吹きして、吹き出す勢いを確認する。
- 塗装する順序は「塗装しづらい・目立たない部位」→「塗装しやすい・目立つ部位」。塗装しやすい部位にたくさん塗装してしまうのを防ぐ。
- スプレーの吹き出し口は塗装面から約20cmほど離し、塗装面と平行に動かして塗装
- 塗装は「満遍なく」「薄く」。厚塗りすると液垂れしてしまいます。
- 必要に応じて2回に分けて塗る。各回の間は夏季は30〜40分、冬季は1時間待って乾燥させる。時間に余裕があるなら待てば待つほど安心
⑤プライマー
プライマーを吹き付けます。今回は「染めQ プライマー スプレー ミッチャクロン マルチ」を用いました。
ミッチャクロンと一番相性がいいのは「二液のウレタン系塗料」だそうですが、次に使っていくアクリル系のラッカースプレーも問題なく密着させてくれました。
ミッチャクロンは「ダブルコートで塗れ」との注意書きがあります。ダブルコートとは、塗装面に対して平行にノズルヘッドを往復させるように噴射することです。
ミッチャクロンは1回で十分足りました。40分ほど乾燥させ、上に色を載せていきます。
⑥ラッカースプレー
好きな色のラッカースプレーで先ほどと同様に塗装しましょう。私は「アサヒペン 高耐久ラッカースプレー 」を使いましたが、アサヒペンに問い合わせたところ、キーキャップであれば紫外線やサビを心配しなくてもよいので「高耐久」ではなく通常のラッカースプレーで良いそうです。また、今回は油性のラッカースプレーを使用しましたが、キーキャップの素材によってはプラスチックが有機溶剤で溶けてしまうため、水性の塗料を使った方がよいかも、とのことでした。
ラッカースプレーはまず1回塗装し、1時間ほど乾燥させた後2回目を塗装すると綺麗に濡れます。
⑦クリアコーティング
塗料が剥がれるのを防ぐため、コーティングをします。私はマットな仕上げが良かったので、「GSIクレオス Mr.スーパークリアー つや消し スプレー 170ml ホビー用仕上材 B514」を使いました。
⑧乾燥後、キーボードに戻す
十分乾燥させた後、キーボードに戻します。
キーボードに戻す際に、私は重大なミスを犯してしまいました。乾いていたので、舐めて今までつけていたゴム手袋を外してキーボードにはめてしまったのです。その結果、伸びていた爪で塗装の一角を割ってしまいました。少しだけなのでそんなに気にならないのですが・・・みなさん、最後こそ、気を引き締めてください・・・
まあ、今回が初めてなので、ご愛嬌ということで。
・爪を切ってから開始して、最後にゴム手袋をして慎重にキーキャップを嵌めるべきだった。
・今回は1つのキーキャップのみ塗装したが、もし大量に塗装するなら各工程の間に待ち時間が大量にあるので、同時並行に作業を進めるべき。
・窓を閉めていてもやはり室内に多少シンナーの匂いが入ってしまった。エアコンは可能なら一度止めた方がよい。
・今回は塗装をしましたが、キーキャップを「染める」という方法もあるそうです。その場合、うっすら元々の文字が見える場合が多いようです。また、調理用の鍋は転用できないので、染色用の鍋を買うことになります。キッチンが広くて多少の汚れが気にならない方は挑戦してもよいかも。ただ、その場合お湯に浸すことになるので、熱変形に気をつけてください。
【COLUMN】キーキャップを染めてみました(1) | TALPKEYBOARD - 自作キ...
・今回は無刻印キートップを作成しましたが、マイ刻印したい場合は、「スタンピングリーフ」という素晴らしいグッズ・テクニックで刻印されている方を見つけました。
Mac純正キーボードをスチームパンクキーボードに2(改造編) | スチームパンク大百科S
・単に摩耗したキーキャップの字を復活させたいなら、印字シールを上から貼るという方法もあります。あまりかわいい色は見つかりませんでしたが、手間は一番少ないかもしれません。
・お持ちのキーキャップが無刻印でレーザーカッターが家にある(か借りられる)という強者の方は、レーザーカッターで文字を刻印できるみたいです。尊敬。
レーザー刻印でオリジナルキーキャップを作る|robert yamamoto|note
特に問題なく使えています!爪で割ってしまった箇所以外、剥がれることもないし、打鍵感も変わりません。
触感ですが、多少は変わりますが、デフォルトの「ザラ」感に少しツッパリが出るくらいです。
恐ろしいことに、一度キーキャップを塗装すると、他のキーキャップも別の色で塗装したくなってきます。今回は使用頻度が低いキーですが、結構うまくいったので、次はコマンドキーとか矢印キーとか、もっと攻めていきたいです。攻めたらご報告します。
全く問題なく使えています。また、追加で他のキーキャップも塗装しました。幸せです。